胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

戦争・虐殺テーマ

映画『福田村事件』

9月4日に『福田村事件』を観てきた。 関東大震災における朝鮮人虐殺は知っていた。加藤直樹著『九月、東京の路上で』他の関東大震災関係の本がわたしの本棚がある。なぜ、興味を持っていたか。昔むかし、教科書か何かで「関東大震災で朝鮮人が虐殺された」と…

『愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年』大貫智子

愛を描いたひと イ・ジュンソプと山本方子の百年 作者:大貫 智子 小学館 Amazon 本屋で見つけた本。なぜか気になり手に取る。パラパラと読むとイ・ジュンソプは韓国では国民的な画家で、妻は日本女性だとある。口絵のカラー写真のイ・ジュンソプの絵は好みで…

マーガレッド・アトウッド『侍女の物語』『誓願』

『侍女の物語』 マーガレット・アトウッド/斎藤英治・訳 (早川書房) 『誓願』 マーガレット・アトウッド/鴻巣友季子・訳 (早川書房) 新春に放映されたNHKの「100分deフェミニズム」をみた。そこで紹介された本でマーガレット・アトウッドを読んでいなかっ…

『歌集 小さな抵抗ー殺戮を拒んだ日本兵士』渡部良三著

歌集 小さな抵抗――殺戮を拒んだ日本兵 (岩波現代文庫) 作者:渡部 良三 岩波書店 Amazon 『歌集 小さな抵抗 ー殺戮を拒んだ日本兵』 渡部良三 (2011 岩波書店) キリスト者である著者は学徒出陣で中国へわたる。新米兵士に根性をつけるため捕虜の中国人を殺す…

中井久夫『戦争と平和 ある観察』

戦争と平和 ある観察(増補新装版) 作者:中井 久夫 人文書院 Amazon 「100分de名著」の中井久男特集の最後に「戦争と平和 ある観察」が取り上げられた。前回のブログのつづきとなるが、指南役の精神科医・斎藤環が「このエッセイで特に重要だと感じる中井の…

中井久夫「戦争と平和についての観察」

NHK 100分 de 名著 中井久夫スペシャル 2022年 12月 [雑誌] (NHKテキスト) NHK出版 Amazon 「100分de名著」で中井久夫を取り上げるというので、NHKオンデマンドで見た。彼の精神の病気についての様々な論考は精神科病院で働いていた時に読んで…

高見順『敗戦日記』

敗戦日記 (中公文庫BIBLIO) 作者:高見 順 中央公論新社 Amazon 『敗戦日記』高見順(中公文庫) 高見順の日記から昭和20年(1945年)の1年間の記録が載っている。 高見順は、鎌倉に住む文士。でも、疎開するお金もないので、悩みながらも鎌倉を離れることができ…

映画『娘は戦場で生まれた』

娘は戦場で生まれた(字幕版) ワアド・アルカティーブ Amazon 映画「娘は戦場で生まれた」を見る。 映画の冒頭「そんなことを世界が許すとは思わなかった」と監督がいう。 わたしもそう考えていた。いまどき戦争や虐殺が許されるはずがない。しかし、戦争も虐…

映画「アイ・キャン・スピーク」

アイ・キャン・スピーク(字幕版) ナ・ムニ Amazon 「アイ・キャン・スピーク」 2017年 監督:キム・ヒョソク 主演:ナ・ムニ、 イ・ジエフン 最近映画をあまりみていない。 寝る前にドラマ『メンタリスト』をみるのが習慣になっている。面白いと人に聞いた…

逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』

同志少女よ、敵を撃て 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 今話題の『同志少女よ、敵を撃て』を読みました。 少し前にNHKラジオ「飛ぶ教室」で高橋源一郎が紹介していたので、図書館で検索したら、すでに蔵書されていた。もちろん貸し出し中。一昨日、図書館か…

徐京植『プリーモ・レーヴィへの旅』・プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』

プリーモ・レーヴィへの旅 作者:徐 京植 朝日新聞社 Amazon NHKオンデマンドで「こころの時代」のアーカイブ「フクシマを歩いて」を見た。 徐京植という作家を知らなかった。オルテガの訳者だった佐々木孝さんも知らなかった。プリーモ・レーヴィも知らなか…

梅を干す

去年、下記の詩を県の芸術祭に送ったら、入選していた。 はじめて応募した。無料だし、メールで送れて簡単なところが良かった。 芸術祭の冊子ができたようなので、本屋で立ち読みした。(ただの入選者には送ってくれないようだ。) 評には、途中からSFになっ…

映画『戦争と人間』

戦争と人間 第一部「運命の序曲」 滝沢修 Amazon 『戦争と人間』は、1970年から1973年に公開された戦争大河ドラマ。監督は山本薩夫、原作は五味川純平。キャストは、当時のスター俳優が勢ぞろい。 私としたことが、この映画を観ていなかった。満州のことを描…

北林谷栄『九十三齢春秋』

九十三齢春秋 作者:北林 谷榮 岩波書店 Amazon 古本屋で北林谷栄さんの本を見つけて買ってしまう。 なつかしい役者さんだ。老け役といえば北林谷栄であった。 ずいぶん若い時分から老け役を演じた。 そのきっかけは、宇野重吉が久保田万太郎演出の舞台での老…

財部鳥子『天府冥府』

天府 冥府 作者:財部 鳥子 講談社 Amazon 『天府 冥府』 財部鳥子 (講談社) 詩人・財部鳥子の自伝的の小説である。 「天府」は満州のジャムスのホテルに暮らす一家の様子が描かれる。中国人に囲まれゆったり時間は流れる外で、匪賊の中国人の死体が転がって…

クリント・イーストウッド監督映画3本

運び屋(字幕版) クリント・イーストウッド Amazon クリント・イーストウッドの映画を観てきませんでした。評判は聞いていましたが、昔々みた映画の印象が悪かったせいでしょうか。仕事の打ち合わせで、この映画が良かったという話を聞いて、みてみました。た…

米原万里『噓つきアーニャの真っ赤な真実』

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) 作者:米原 万里 KADOKAWA Amazon 『噓つきアーニャの真っ赤な真実』 米原万里著 (角川文庫) 先週は忙しかった。調べたいこともあって1泊2日で弘前へ行った。 日帰りでもよかったのだが、調べたら良い感じのホテルが…

ニキータ・ミハルコフ監督『戦火のナージャ』『遥かなる勝利へ』

戦火のナージャ(字幕版) ニキータ・ミハルコフ Amazon 遥かなる勝利へ ニキータ・ミハルコフ Amazon 『戦火のナージャ』(2010年)、『遥かなる勝利へ』(2011年)のロシア映画。ニキータ・ミハルコフ監督・主演である。ナージャ役は、監督の娘のナージャ・ミ…

映画『アイダよ、何所へ?』

映画『アイダよ、何処へ?』公式サイト 映画『アイダよ、何処へ』を見てきました。 ボスニア紛争末期1995年7月11日、ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人の侵攻によって陥落した。そこで起こった虐殺をえがいている映画。詳しい映画の内容は、下にあ…

NHK BS1スペシャル シリーズ

我が家にはテレビがない。もう10年くらいは持っていないかもしれない。 ネットで映画ばかり見ているが、テレビがないと困ることもある。 ラジオで相撲中継を聞いても、名前と顔が一致しない。 災害や悲惨なことを目で見ていないので、現実実がない。 評判の…

小柳ちひろ『女たちのシベリア抑留』

女たちのシベリア抑留 作者:ちひろ, 小柳 文藝春秋 Amazon 『女たちのシベリア抑留』 小柳ちひろ著 2019年 (文藝春秋) BSIスペシャル「女たちのシベリア抑留」(初回放送2014年8月12日)のディレクター、小柳ちひろさんが書いた本である。 身近にシベリアから…

映画『MINAMATA』

longride.jp わたしは面白かった。水俣の映画というよりユージン・スミスというダメ人間の誠実さ。むかしのアメリカ人の誠実なジャーナリズム魂。純粋な人間なほど破滅的になってしまう傾向が昔はあったよね。いまは芸術家はまっとうでスマートで、いいこと…

『すべての見えない光』アンソニー・ドーア

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ドーア,アンソニー 新潮社 Amazon 『すべての見えない光』 アンソニー・ドーア (新潮社) すごい小説だった。うなりながら読む。ひきこまれながら読む。ハラハラしながら読む。うっとりしながら読む。 詩情…

映画『ホテル・ムンバイ』

ホテル・ムンバイ(字幕版) デヴ・パテル Amazon 映画「ホテル・ムンバイ」 2019年 最近、映画館へ行っていない。Amazonプライムでも見ていない。勉強しなくちゃいけないことがあり、書かなくちゃいけないことがあって時間をとられた。 一段落したので、映画…

『シリアの秘密図書館』

シリアの秘密図書館 (瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々) 作者:デルフィーヌ・ミヌーイ 発売日: 2018/02/28 メディア: 単行本 『シリアの秘密図書館 瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々』 デルフィーヌ・ミヌーイ著 藤田真利子訳 (東京創元社…

映画『DAU ナターシャ』

『DAU.ナターシャ』 監督:イリヤ・フルジャノフスキー すこし退屈した。異次元の撮影ということだが、場面は食堂と宴会とセックスと尋問。 食堂の定食は量が多くて美味しそうだった。ロシア人は酒に強い。尋問中も飲み合う。息苦しい雰囲気が出ているとは思…

ハン・ガン著『少年が来る』

少年が来る (新しい韓国の文学) 作者:ガン, ハン 発売日: 2016/10/27 メディア: 単行本 ハン・ガン著『少年が来る』。ひさしぶりに図書館へ行き、この本を借りてきた。ハン・ガンの『すべての白いものたち』を読んで、詩のように素敵だなと思ったので、この…

藤原てい『流れる星は生きている』

流れる星は生きている (中公文庫) 作者:藤原 てい 発売日: 2002/07/25 メディア: 文庫 『流れる星は生きている』 藤原てい 昭和24年5月刊 日比谷出版社 昭和51年2月刊 中公文庫 8月15日の敗戦の日あたりにNHKラジオで放送する恒例の高橋源一郎が戦争関連の本…

アマルティア・セン著『アイデンティティと暴力 運命は幻想である』

アイデンティティと暴力: 運命は幻想である 作者:アマルティア・セン 発売日: 2011/07/09 メディア: 単行本 『アイデンティティと暴力 運命は幻想である』 アマルティア・セン著 2011年 (勁草書房) P7~8「まえがき」より 党派間であおられた憎悪が野火のよ…

加藤直樹著『九月、東京の路上で』

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響 作者:加藤 直樹 発売日: 2014/03/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) 『九月、東京の路上で』 加藤直樹著 (ころから) 2014年 9月1日は関東大震災が発生した日であり、今は防災の日になっている。 …