胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

財部鳥子『天府冥府』

天府 冥府 作者:財部 鳥子 講談社 Amazon 『天府 冥府』 財部鳥子 (講談社) 詩人・財部鳥子の自伝的の小説である。 「天府」は満州のジャムスのホテルに暮らす一家の様子が描かれる。中国人に囲まれゆったり時間は流れる外で、匪賊の中国人の死体が転がって…

映画「ニューヨーク公共図書館」

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(字幕版) リチャード・ドーキンス Amazon ドキュメンタリー映画『ニューヨーク公共図書館』。2017年公開作品。 監督は現在92歳のフレデリック・ワイズマン。数々のドキュメンタリー映画を撮ってきた監督だ。3時間以…

村松圭一郎『くらしのアナキズム』

くらしのアナキズム 作者:松村 圭一郎 ミシマ社 Amazon 「アナキズム」というと、無政府主義で国を転覆する、というイメージ。政府は無政府主義者たちを怖がって、大杉栄と伊藤野枝を虐殺した。共産主義よりわけわからないから、怖がったのだろうか。 資本主…

クリント・イーストウッド監督映画3本

運び屋(字幕版) クリント・イーストウッド Amazon クリント・イーストウッドの映画を観てきませんでした。評判は聞いていましたが、昔々みた映画の印象が悪かったせいでしょうか。仕事の打ち合わせで、この映画が良かったという話を聞いて、みてみました。た…

米原万里『噓つきアーニャの真っ赤な真実』

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) 作者:米原 万里 KADOKAWA Amazon 『噓つきアーニャの真っ赤な真実』 米原万里著 (角川文庫) 先週は忙しかった。調べたいこともあって1泊2日で弘前へ行った。 日帰りでもよかったのだが、調べたら良い感じのホテルが…

『片手袋研究入門』 石井公二著

片手袋研究入門 小さな落としものから読み解く都市と人 作者:石井 公二 実業之日本社 Amazon 片手袋。わたしも気になっていた。道路によく落ちている軍手。なぜ、軍手が落ちているんだ。トラックなどの作業のため置きっぱなしになった? ガソリンを入れてい…

映画『ホビット』

つい、『ホビット』3部作をみてしまった。息子たちとみていたはずだが、内容を忘れていた。 今回違うところは、わたしがビルボ・バキンズ演じるマーティン・フリーマンを俳優としてなじんでいる点だ。最初『ホビット』を見たときは、なんだかパッとしないお…

キム・ジヘ著『差別はたいてい悪意のない人がする』

差別はたいてい悪意のない人がする: 見えない排除に気づくための10章 作者:キム ジヘ 大月書店 Amazon 『差別はたいてい悪意のない人がする』 キム・ジヘ著 (大月書店 2021) 差別にする人たちは悪意がない。だってそれが当然なのだから仕方がない。正義は我…

ニキータ・ミハルコフ監督『戦火のナージャ』『遥かなる勝利へ』

戦火のナージャ(字幕版) ニキータ・ミハルコフ Amazon 遥かなる勝利へ ニキータ・ミハルコフ Amazon 『戦火のナージャ』(2010年)、『遥かなる勝利へ』(2011年)のロシア映画。ニキータ・ミハルコフ監督・主演である。ナージャ役は、監督の娘のナージャ・ミ…

映画『男と女 人生最良の日々』

男と女 人生最良の日々(字幕版) アヌーク・エーメ Amazon 元旦に観た映画は『男と女 人生最良の日々』。監督は、クロード・ルルーシュ。 1966年公開の『男と女』の主人公2人の老いてからの交流を描く。大きな悲しみもなく苦も無く観られる。ほのぼのとはし…

クリスマスに観た映画4本

戦場のメリークリスマス デヴィッド・ボウイ Amazon ラジオから「戦場のメリークリスマス」が流れてきて、映画が観たくなった。昔観たはずだけど、細部を忘れている。それもそのはず、1983年の公開時に観ている。38年前ではないか。わたしも20代前半。出演者…

映画『アイダよ、何所へ?』

映画『アイダよ、何処へ?』公式サイト 映画『アイダよ、何処へ』を見てきました。 ボスニア紛争末期1995年7月11日、ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人の侵攻によって陥落した。そこで起こった虐殺をえがいている映画。詳しい映画の内容は、下にあ…

NHK BS1スペシャル シリーズ

我が家にはテレビがない。もう10年くらいは持っていないかもしれない。 ネットで映画ばかり見ているが、テレビがないと困ることもある。 ラジオで相撲中継を聞いても、名前と顔が一致しない。 災害や悲惨なことを目で見ていないので、現実実がない。 評判の…

小柳ちひろ『女たちのシベリア抑留』

女たちのシベリア抑留 作者:ちひろ, 小柳 文藝春秋 Amazon 『女たちのシベリア抑留』 小柳ちひろ著 2019年 (文藝春秋) BSIスペシャル「女たちのシベリア抑留」(初回放送2014年8月12日)のディレクター、小柳ちひろさんが書いた本である。 身近にシベリアから…

東畑開人『心はどこに消えた』

心はどこへ消えた? (文春e-book) 作者:東畑 開人 文藝春秋 Amazon 東畑開人さんの『野の医者は笑う』と『居るのはつらいよ』は面白かった。『居るのはつらいよ』はその年のわたしのベスト1の本だと思った。だから久々の単行本に期待した。『週刊文春』の連…

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?』

時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。 作者:和田靜香,小川淳也 左右社* Amazon 『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?』 和田静香/協力・小川淳也 (左右社) 10月31日の衆議院選挙の日にこの本を読んでいた。…

映画『MINAMATA』

longride.jp わたしは面白かった。水俣の映画というよりユージン・スミスというダメ人間の誠実さ。むかしのアメリカ人の誠実なジャーナリズム魂。純粋な人間なほど破滅的になってしまう傾向が昔はあったよね。いまは芸術家はまっとうでスマートで、いいこと…

映画『サンマ・デモクラシー』

まだ、沖縄がアメリカの庶民地だったころ、庶民の魚、秋刀魚に高い関税をかけられていることに、憤った魚卸業の王城ウシが税金の還付訴訟をおこした。相手は琉球政府だが、その背後にはアメリカから派遣された高等弁務官が権力をふるっていた。ウシさんの裁…

映画『シャン・チー』

マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は公開されて3日目ぐらいに観に行きました。仕事が暇で「もう帰っていいよ」と言われたのが15時。ダッシュで映画館に行き15:15分に間に合ったのです。 評判もいいらしいのですが、面白いですよ。ファンタ…

秋になりました。

気分を変えるために、ブログのデザインを変えてみました。 このブログも2008年からはじめている。その前にも別のところでブログを書いていたので長い。といっても、最近は映画や本の備忘録となっている。相変わらず映画はよく見ていますし、本も読んでいます…

『すべての見えない光』アンソニー・ドーア

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ドーア,アンソニー 新潮社 Amazon 『すべての見えない光』 アンソニー・ドーア (新潮社) すごい小説だった。うなりながら読む。ひきこまれながら読む。ハラハラしながら読む。うっとりしながら読む。 詩情…

映画『ペトルーニャに祝福を』

「ペトルーニャに祝福を」 2019年 監督:テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ 主演:ゾリツァ・ヌシェヴァ 北マケドニアの小さな村で、川に投げ込んだ十字架をいちばんに拾った人に幸運が授かるという行事がある。その十字架を女性である主人公が拾ってしまっ…

映画『ホテル・ムンバイ』

ホテル・ムンバイ(字幕版) デヴ・パテル Amazon 映画「ホテル・ムンバイ」 2019年 最近、映画館へ行っていない。Amazonプライムでも見ていない。勉強しなくちゃいけないことがあり、書かなくちゃいけないことがあって時間をとられた。 一段落したので、映画…

映画「ノマドランド」

「ノマドランド(NOMADLAND)」2020年 監督:クロエ・ジャオ 主演:フランシス・マクドーマン 原作は、ノンフィクションの『ノマド 漂流する高齢労働者』ジェシカ・ブルーダー著(春秋社)ということで読んでみたい。 家を無くし改造したバンで暮らしはじめる…

映画「ミナリ」

「ミナリ」2020年 監督:リー・アイザック・チョン 農業やるとなると、ぜったい天候やら何やら障害が出るなとドキドキする。 妻のどうせうまくいかないと思う気持ちの方に同調してしまう。 農業が軌道にのるにはお金がかかる。 子役がいい、お祖母さん役がい…

『シリアの秘密図書館』

シリアの秘密図書館 (瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々) 作者:デルフィーヌ・ミヌーイ 発売日: 2018/02/28 メディア: 単行本 『シリアの秘密図書館 瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々』 デルフィーヌ・ミヌーイ著 藤田真利子訳 (東京創元社…

映画「天国にちがいない」

「天国にちがいない」 2019年 監督:エリア・スレイマン 主役は監督であるエリア・スレイマン。ナザレ出身のパレスチナ人。キリスト教徒である。自宅の庭には大きなレモンの木がある。家族を介護していた遺品が残っている。介護用品などを処分して彼は旅立つ…

映画『DAU ナターシャ』

『DAU.ナターシャ』 監督:イリヤ・フルジャノフスキー すこし退屈した。異次元の撮影ということだが、場面は食堂と宴会とセックスと尋問。 食堂の定食は量が多くて美味しそうだった。ロシア人は酒に強い。尋問中も飲み合う。息苦しい雰囲気が出ているとは思…

『石原吉郎 シベリア抑留詩人の生と詩』 細見和之著

石原吉郎 - シベリア抑留詩人の生と詩 作者:細見 和之 発売日: 2015/08/24 メディア: 単行本 図書館の本棚でなにげなくとった本。 石原吉郎の名は知っていたけど、詩も人生もよく知らなかった。 本人の作品より先に伝記を読んで予習みたいなものであるが、細…

礒崎純一『龍彦親王航海記』

龍彦親王航海記:澁澤龍彦伝 作者:礒崎 純一 発売日: 2019/10/31 メディア: 単行本 『龍彦親王航海記』 礒崎純一著 (白水社) 澁澤龍彦の伝記である。わたしも若い頃好きだった。『ねむり姫』や『高丘親王航海記』等は日本文学の中では気に入った作品で、いま…