胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

アントニオ・G・イトゥルベ『アウシュビッツの図書係』

 

アウシュヴィッツの図書係

アウシュヴィッツの図書係

 

 

事実とフィクションを織り交ぜた物語というが、本に希望をたくした見事な物語だ。登場人物が生きている。主人公のディタの強がりと好奇心。フレディ・ヒルシュの強さともろさ。この人いい人だったのだろう。彼が話す「ユダヤ人のパレスチナへの移住」。約束の地とユダヤ人が思う。彼らには彼らの優生思想があり、コインは裏表になって人間を殺し続ける。いい人だからこそ一生懸命だからこそ怖いと思わせるのが、ヒルシュだ。彼は立場が違えはナチスになったかもしれない。一番好きなキャラクターは、モルゲンシュテン先生。不器用な道化のようにふるまいながら、すべてを見ている優しい人。もう映画化も決まっているのではないだろうか。映像にぴったりだ。でも、わたしたちは虐殺に慣れすぎている。目の前に起こるのではないひとつのニュース。消費されるニュース。