胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

ノーム・チョムスキー『誰が世界を支配しているのか?』

 新型コロナウィルスを抑え込むために、緊急事態宣言が全都道府県に拡大されました。

旅に出たいところですが、家で過ごす日々です。

オタクなので家で過ごすのに退屈はありません。

3月からずいぶんと映画を観て、本を読みました。

記憶に残っているのを、そのうち書きとめておきましょう。

そうしないと、読んだ端から忘れていきます。

お出かけできない。映画と本に埋もれていても何かむなしい。

というわけで、ブログ復活です。

 

 

誰が世界を支配しているのか?

誰が世界を支配しているのか?

 

 

先週、読んでいたのはチョムスキーの『誰が世界を支配しているのか?』

チョムスキーは、1928年生まれの言語学者です。90代に入ってもますます元気に政府の批判をしている学者会のマイケル・ムーアのような方ですが、言語学者、思想家としての評価が高く、とてつもなく頭がいい人なのでしょう。

 

チョムスキーの新聞や雑誌でコメントしたものは読んだことがありますが、本は読んだことありませんでした。

本を読んだきっかけは、Amazonプライムで『すべての政府は嘘をつく』を観たからです。チョムスキーがでていました。1冊ぐらい本を読んでおこうと思いました。

この映画は、現代のジャーナリストに大きな影響を与えたジャーナリスト、故I・F・ストーンへのオマージュ映画。ストーンが「すべての政府は嘘をつく」と言ったとのこと。マイケル・ムーアもストーンのファンです。

 

『誰が世界を支配しているのか?』を読むと、アメリカが偉大なテロ国家だとわかります。アジアや中東での非道は、少しは知っていたけど、南米の独裁政権を動かしていたのはアメリカだと知りました。アメリカはよく「人道的介入」と言います。でも、民主主義国家が生まれるのは望みません。アメリカの言うことをよく聞く、アメリカを儲けさせてくれる国がお望みなのです。そういう国を作るために、知識人、反政府勢力、人道的支援をするソーシャルワーカーや教師、医師、そして学生を殺していきました。白人以外は蟻のようなものです。殺されてもアメリカは悼みません。ベトナムのことを思い出せばわかります。ベトナムや周辺地域もアメリカの思い通りにしたかったけど、失敗しました。イスラエルパレスチナ問題。アメリカ政府のあらゆる政権の悪事が書かれています。

 

この本を読んで思いました。チョムスキーは書いていないけど、虐殺などせず、軍事政権に民衆を殺させたりすることなく、アメリカの言いなりになり、アメリカのために多額のお金を出している、驚くべき国があるではないか。現在のすばらしい情報操作と長年の教育の果実が実って、考えない反抗しない民族を育て、アメリカの思いのままになっている国です。ある程度の自由は許されていますが、凋落していくアメリカはこの国から、もっと搾り取らないといけません。それがFTAなのかもしれない。チョムスキーは「自由貿易協定」なんて名前にごまかされてはいけない。アメリカ企業の思いのままだ、と怒ります。

 

この本を読むには、世界史の知識が必要です。ほとんどの単語は聞いたことあるものです。マグナカルタからはじまって、モンロー主義ジュネーブ条約G7オスロ合意、中東戦争パレスチナ問題、ビンラディン氏暗殺その他。チョムスキーが出すトピックスは、まったくの初耳ではない。昔々の世界史の記憶の破片が残っている。わたしはテレビは持っていないけど、ラジオや新聞で「単語」は記憶されている。でも、何が行われたかは知らない。ニュースは表面的でしかない。何が行われ、何が行われなかったのか。深く考えることはなかった。すべては今に通じて、この国と関係があること。

 

英語を勉強しなくてはと思いましたよ。ハングルでもフランス語でもなく英語なのは、ある程度の文法知識が私たちは持っているから、単語がわかればどうにか解読できる。日本のニュースばかり見ていたらだめだな。もっと、英文を読む力を鍛えないといけない。

 

ビンラディン氏が暗殺された」とニュースは流れ、勇ましい大統領の演説が報道される。でも、なぜ今の時代に暗殺? とそのときに思った。チョムスキーによれば「ジュネーブ条約」というものがあり、誰でも裁判の権利がある。ナチスも裁判にかけられた、と訴える。

わたしは、裁判にビンラディン氏をひっぱりだすのは、いろいろ不都合があるのだろう、と邪推する。そのあとも、去年指導者を暗殺していました。オバマ大統領の時はドローンによる暗殺が流行ったそうです。

参考:「オバマ政権と無人航空機による標的殺害」鹿島平和研究所

http://www.kiip.or.jp/overview/doc_researcher/kenkyu-UmekawaTakeshi261030.pdf

 

チョムスキーを読んでも私にできることは少ない。影響力はなくお金もなく、存在はウィルスより小さい。この本の帯には「ニューヨークタイムズ ベストセラー」と書かれていて、アメリカでのファンも多い。でも、アメリカの横暴も嘘もだれも止められない。この国でも、まともな知識人はいる。その人たちが毎日何かを発信し、意見を言ったところで政権は屁でもない。

なぜだろうね。

知識人と一般市民の格差が大きくなり過ぎたのだろうか。

アメリカ政府にとっては、チョムスキーが吠えていても気にしないのだろう。世界が違うところ、次元の違う空間にいるようだ。それにあと10年もすればチョムスキーはこの世界からいなくなるかもしれない。跡を継ぐ人たちがいたとしても卓越した人間はすぐには出てこない。

しかし、政府や企業はトップが変われど続いていく。

 

そうはいっても、声をあげていかないといけない。

政府を丸ごと改心させることは難しいだろうけど、政策を少し変えさせることはできるかもしれない。

わたし住むこの国の政府もマスク2枚で逃げようとしたが、国民が「冗談じゃない!」と大合唱すれば、10万円だ、30万円だという話が出てくる。そんな案では済まないと思いますが、みんなで声をあげないと何も変化は起こせないのだから。

 

すべての政府は嘘をつく

すべての政府は嘘をつく

  • 発売日: 2017/08/01
  • メディア: Prime Video