手塚治虫『ブッダ』『アドルフに告ぐ』『火の鳥』
わたしは、 手塚治虫のアニメで育った世代である。『鉄腕アトム』はあまりおぼえていないが、『リボンの騎士』や『ジャングル大帝』は覚えている。特に好きだったのは『不思議なメルモ』だった。メルモが大人にも赤ちゃんにもなれる不思議な薬(ミラクル・キャンディー)を手に入れて様々な経験をしていくお話。
でも、漫画のほうは読んでいなかった(『ブラックジャック』はよく行く歯医者の待合室に置いてあって読んでいた)。でも、有名な『火の鳥』他のシリーズを読んでいない。今回読んだ理由は単純である。原始仏教を勉強してみようと、仏教の本を読んでみたけど、ブッタとはどういう人なのだろう、すぐに良くわかる本はないかと考えて手塚治虫の『ブッタ』を読んでみた。小難しい漫画は読みたくないと避けていたのかもしれないけど、漫画的ギャグも満載しストーリーは重い内容を軽快に進めていく。読んでみると面白い。
続けて『アドルフに告ぐ』を読む。ストーリーは歴史的事実をベースに込み入ったドラマがあり、映画を観ているようだった。なぜ映画化されなかったのだろう(日本映画では作れないと思う。ハリウッドか韓国映画の演技とスピード感が欲しい。)『火の鳥』は地球で行われる人間の生死、輪廻転生を考えされる。
すべてに共通するのは、人間の欲というものがテーマだと思う。自分だけの欲ではなく、人の欲に操られて動かされる人間。主義、宗教の違い、すべてが欲。その煩悩の中で人間がもだえ間違いを起こす。間違いを犯しながら目覚める人と業火の中に落ちていく人間。
よく「手塚治虫は天才だ」という言葉を目にしていたけど、よくわかっていなかった。手塚治虫は大天才です、と言いたい。