胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

秋田へ

秋田へ行ってきた。新幹線こまちで1時間半もかからない。

夫が仕事があって秋田へ行くというので、「ずるいわたしも行く」となった。最近は町の家と山の家の往復ばかりで、少し飽きていた。

東北割というのがあって安く泊まれるというので、1泊することに。

夫との旅と行っても、行きも帰りも新幹線は別々。ホテルの部屋もシングルを2つ取る。家にいても別々の部屋だし、寝る時間がちがうので別のほうが気が楽なのだ。

1日め、わたしは早く秋田につき、無印良品で秋物のシャツを1枚買った。あとから来た夫と待ち合わせして秋田市民市場へ行き、お寿司のお昼を食べる。少し値段の高い回転寿司。しかし、わたしは残りご飯で作ったおむすびをひとつ食べてしまっていたので、お寿司はヒラメを一皿とざっぱ汁(あら汁)を食べただけ。ざっぱ汁が美味しかった。

夫が仕事で人と会っている間、市民市場の隣にある「赤居文庫」で本を読んでいた。本が沢山はないけど、読みたくなる本が置いてある。飲み物の種類も多くて楽しそう。わたしは豆乳烏龍茶をたのんだら、大きなマグカップで出てきて飲みごたえがある。

読んだ本は『オオカミと森の教科書』。日本の森に狼を放すことはできないだろう。でも、鹿害のために泣く日々を思うと、狼に頼りたくもなる。鹿だけでなく熊も猪も増えているのに、絶滅した種はもどることはないのだなと思いながら。このままどうなるのだろう。戦争にでもなって日本が飢えるようになったら、我先にと鹿を狩るようになって、野生動物が減るのだろうか。それはとっても嫌だな。絶滅しないように、でも被害も少なくどうしたら一緒に生きていけるのか。いろいろ考えさせてくれる本で、読みやすい!

 

ホテルにチェックインして、夫と千秋公園をひとまわり。広いお堀の蓮の花も終わりかけているが、見ごろの時期は壮観だったろう。

 

ずいぶん久しぶりの秋田。

いつ来たか調べてみた。たまたま用があって秋田市に1泊したときに千秋美術館でアンドリュー・ワイエス展をやっていて見た記憶しかない。どこに泊ったかも覚えていない。ネットで調べたら、アンドリュー・ワイエス展は平成13年の4月から5月。ずいぶん昔のことだ。現在、千秋美術館は改修中でお休みだった。平成13年も千秋公園を歩いたが、だいぶまわりが変わっている。大きな芸術劇場や文化施設ができたり、カフェができたり。

千秋公園入口に「秋田市文化創造館」という施設がある。名称が固くてなんだろうと思った。若い人が外で喋り、中でテーブルに向かっている。入ってみると、広いフロアーに机とテーブルが置いてあり、自由に使っているようだ。本棚もあり、夕食の時間に早いのでそこで本を読んで過ごした。夫と「こういうフリースペースいいよね」と話す。盛岡にないナ。

「文化創造館」の庭に歌手の東海林太郎さんの像がある。わたしは「この人知らないけど、赤城の子守歌はわかる」というと、夫が驚く。「すごい有名だったよ。直立不動で歌って紅白にも出ていた」という。心の中で、だって12歳離れているから知らないよと思いながら、いや見ていると思い出した。名前は憶えていないけど、直立不動で歌っていた男性歌手がいたと。小さい頃にテレビで見ていた。

 

夕食は、川反どおりの「北洲」というお店。夫の友人が教えてくれたところ。川の見える座敷に座らせてもらって、ハタハタの塩焼きやお刺身で日本酒をいただいた。

 

2日めは、夫は男鹿半島へ行き、わたしは秋田県立美術館へ行く。

美術館は9時からと思ったら、10時から。どうしようと思ったら、となりにフリースペースのある建物があり、中で座って本を読める。テーブルもあるのでパソコンをひらいている人も。最近、胃腸が悪くてコーヒーを控えていたので、カフェに入っての時間つぶしもつらい。コーヒーも紅茶も飲まないで、飲みたいものが麦茶なら水筒を持って歩けばいい。でも、ベンチが少ないとひと休みができない。雨や暑すぎると屋内にひと休みするところがあるといい。その点、秋田市は駅のコンコースにもテーブルつきのベンチや面白いベンチがあり、待合室も工夫された椅子とテーブルがありゆっくりできる。町中なかにもベンチがある。なかなかいいと感心した。

秋田県立美術館は、藤田嗣治の壁画絵「秋田の行事」が見たかった。藤田嗣治は1933年(昭和8年)に日本に帰る前に南米を歩き、南米の壁画や色に影響を受けたと解説があった。パリで描いて人気のあった「乳白色の肌」の絵とは趣がちがいうが、庶民のいきいきした様子が描かれている。わたしは母親に鼻紙で鼻をふかれている男の子が好きだ。こういう小さなものを大切に画面のあちこちに入れている。

藤田嗣治のことは下記の本を読んで知った。

近藤史人『藤田嗣治「異邦人」の生涯』 - 胡桃の木の下で


美術館の特別展は「藤田嗣治 子どもへのまなざし展」である。戦後の戦争画の責任を言われ、美術界に日本に嫌気がさしてパリにもどってからの作品群。小さな絵を楽しみながら描いたのだろう。あの戦争画アッツ島玉砕」を描いたのが藤田嗣治の抵抗だったと思う。他の並みの戦争画とは違うと。画壇で偉くなるというより、自分の絵を描きたかっただけなのに。子どもの絵を見ながら、いろいろな細部を描きこんでいるときの平安を思う。

 

ホテルから2000円クーポンをもらったので、お土産にいぶりがっことハタハタの干したのともろこしを買う。

 

泊まったホテルはコンフォートホテル秋田。ロビーに本棚があって、読みたい本が並んでいる。もっていない谷口ジローの本を読めた。

 

去年は夫の取材について津軽をまわったのに、ぜんぜん記録していなかった。認知症になりかけているわたしは、泊まった場所や行った場所の名前を忘れてしまうのだ。なるべく記録しておこうと反省する。