胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

ルック・オブ・サイレンス


http://www.los-movie.com/


『ルック・オブ・・サイレンス』は、『アクト・オブ・キリング』の続編です。
でも、私は、『アクト・オブ・キリング』は観ていません。
ジョシュア・オッペンハイマー監督は、この2作目もフィルムに収めていて、あとで編集したということでしょうか。
アクト・オブ・キリング』が世界で上映された後では、『ルック・オブ・サイレンス』の撮影はできませんものね。

すごいドキュメントです。命がけです。
1965年に起きたインドネシアの虐殺のことは知りませんでした。
ほとんどアジアで何が起こっているかを知りません。

でも、同じようなことがどこでも起こっています。
ヨーロッパでもアフリカでも、もちろん日本でも。
関東大震災の時に、デマによって一般人が朝鮮人を虐殺しました。自警団です。
警察が大杉栄伊藤野枝と子どもまで殺しました。
その殺した人たちは生き延びて、大した罪にもならなかったようです。
その人たちは、どういう気持ちで生きていたのでしょうか。

軍や警察に操られ、洗脳され狂暴になる庶民。
良い人たちである人が。自分が助かるためか。
そうして誰もが口をつぐむ。
いい訳は、「上からの命令だった」「そういう風に言われた」と責任逃れをする。

自慢げに虐殺の様子を語っていた実力者たちが、アディが「殺されたのは、わたしの兄なんです」と言われたときの顔。
「仕方がなかったんだ」と言い訳する実力者たちを前に、アディは責めるでもなくただ沈黙する。悲しそうな眼をして沈黙する。
この沈黙がつらい。
実力者たちもつらいのだろう。
アディの沈黙の前に言い訳したり、怒鳴ったりします。

アディは、今どうしているのだろう。大丈夫なのでしょうか。
アディのお父さんとお母さんがいい味を出していて、緊張した画面をほっとさせます。
息子を奪われたお母さんの口惜しさ。
死後に裁きが下ると思うしかないですね。

インドネシアの共同制作者は、Anonymousと隠されています。

日本にまたそういう時代が来そうで、恐いです。
本当に神様はいるのでしょうか。

 ※ アディさんは、映画公開のおりに来日していました。良かった
   ⇒ http://mini-theater.com/2015/07/09/31706/



(制作:デンマークインドネシアノルウェーフィンランド、イギリス合作 監督・制作:ジョシュア・オッペンハイマー 共同監督:Anonymous 制作総指揮:ヴェルナー・ヘルツォーク、エロール・モリス 2014年 インドネシア語、ジャワ語 103分)