胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

神楽映画②「廻り神楽」

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ドキュメンタリー映画「廻り神楽」は2017年に制作され、2018年に上映開始された映画である。岩手県宮古市の黒森神楽は沿岸を門付して歩くことで有名だ。震災後の沿岸を変わらず門付して歩く。むかしは、農閑期の冬の収入源でもあったかもしれないが、沿岸だから漁の仕事の人たちも冬は時間があったのだろうか。

 

この映画をみて印象に残ったのは、神楽をみて嬉しそうな老若男女の姿だ。港も町も山も変わっていったけれど、人は変わらない。「早池峰の賦」に出てくる村人と同じように良い表情をしている。ばっちゃんじっちゃんの穏やかな顔、鬼の面や獅子頭に逃げて大泣きする子どもたち、神楽衆をもてなそうと料理をつくる女たち。神楽を観に来ている人の笑顔がほっこリ温かいスープを飲んでいるような気持ちになった。

 

少し思ったのは、「男が飲んで女が台所で立ち働く」ことに違和感はあるが、あれはあれで楽しいものだということ。田舎の行事でみんなでご飯作って、男たちに飲ませた後、女たちでビールを傾ける。残ったおかずをもらってきて、その日は家では何もしない。あれも女たちの娯楽だったのだ。いまは仕出しの弁当を並べることが多くて、女たちは楽になったけれど、みんなで台所に立ちそれぞれの人のやり方を眺めるのも楽しかったなあと懐かしい。