胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

山中葛子

「海程」に山中葛子という方がいます。昭和12年生まれの大ベテラン。大先輩。千葉の方なので、勝手に親しみを覚えていますが、会ったことはありません。

 今年『かもめ』という何冊目かの句集を出しました。下記に載せたのは、自薦句だそうです。
この方の句には、どこか少女のような瑞々しさがあると思う。

 特に気に入った句

 もうごはんまたごはん白さるすべり

 毎日ごはんのことばかり考えている私には、やられてしまったという句である。白さるすべりもあっている。お盆の頃に咲いているさるすべり。夏休みでお客も多いこの時期、いつもよりごはんをたくさん作るような感じがでていると思う。

 ※たまたま、雑誌やネットで俳句を読んで「いいな」と思っても、それはどこにあったか、後で探しても見つからなかったりするので、ブログにメモをしておくことにします。
最近Facebookをやっていますが、1年前の自分の記事を探したけれど、出てこない。他の記事は出ているのに、タイムラインに保存されていないものがあります。「いいね」は押されなかった記事は消されるのかしら。FBにメモ的に載せていたけれど、後で検索するのが面倒なので、メモ的なことはブログに載せることにしようと思いました。

鳶の輪の絶対音感夕焼ける

白菜よときに相思鳥の呼吸

さしも草手紙書くとき妹であり

もうごはんまたごはん白さるすべり

妻だけの踏む暗がりや蚊帳吊草

藤五尺抽象にさしかかりしか

ロボットのつるつることば冬灯す

無欲という欲望のあり紫金牛

夕焼の古くてかわいい道に出た

鼠取りふたつ吊るして月の家

未来少少藤のむらさき本気なり

はっとふたりどきっと茸飯の夜


しなやかな引力ひねもす春鴎
臘梅が正座に変わりはじめたり
綿虫や故郷があり淋しいぞ
鬼やらい鬼の流し目にぶつかり
また一人減る野遊びの鍵音
稲妻走るとても大きな説明だ
田水湧くなんという静けさ
萩白しひとりのときの独りの誤差
ふわふわのにこにこのさるすべりかな
石だらけ枯蟷螂にみどりの目
水の春鴎しばらく液化して
目薬の一滴すっと冬すみれ
舌先はまだ眠りたい蛇である
梅雨の松島水狂言というべきか
しわくちゃな望郷でありぬ春の象
いろいろの雨男来る黴故郷
十一やしかしもうひと雨は来る
抱き起こす菊焦げそうで錆そうで
冬夕焼ゴリラの輪郭水っぽい
牛の子に春の筋肉そなわりし
白鷺をあつめてむむむ無月なり
かわほり来て書斎はアンドロメダ星雲
雲の囲やにんげんすうっといなくんる
真っ白ん霧を掴んでいる恐さ
黒牛を攫ってゆきし夏の雨
夕焼の古くてかわいい道に出た
眠るときヒロシマナガサキ・カタツムリ
下総やしーんと葱の花浮いて
淋しめば瓦礫ふうっと蓬かな
海鳥の全部が消えて白鳥座