胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

自分の仕事をつくる

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

 
 昨日、盛岡紺屋町のアンティーク市を見に行った。探しているお皿があったからだが、ちょうど「モリブロ」というイベントの一環として一箱古本市の開催もあった。古本屋さんではない一般の人がりんご箱一箱分ぐらいの(たぶん)自分が読んだ古本を売っているのである。
 それもちらちら見ながら、高峰秀子さんの料理本(文庫)を買いたいなと思ったが、まずは知り合いのアンティークを見てからにしようと思った。知り合いと話し、思い描いていたお皿は見つからず、お金も使わなかったし、高峰さんの文庫本を買って帰ろうとして、目当ての店に寄ったらもう売れていた。文庫はほとんどなくなっていて(もともと10冊ぐらいしか置いていなかった)、ふと見ると、この『自分の仕事をつくる』が置いてあった。
 自分の仕事をつくる、諸事情あって急展開で来月からフリーランスとなってしまう私には、そそられるタイトルなので、本を手にして買う。お店を出している女性が「この著者が盛岡に来ているんですよ。今頃公会堂で講演があるし、その後、みなさんで町歩きするみたいですよ」と教えてくれた。そうなんだ。有名な人なんだとは知らなかった。

 家に帰ってから、午後はこの本を読んでいく。
 いろいろな方のワークスタイルを取材しているが、デザイン関係の方が多い。それでも、考え方には全ての職業に通じるものがある。

 こんなこと言っては身も蓋もないけれど、本を読んで「愛だな」と叫んでしまった。
 「愛」なんて言葉を使うのは好きではなかったけれど、愛なんだと思った。仕事への愛。どんな仕事にもそれはある。デザイナーやレジ打ちにも。それが仕事を支える。創意工夫をする。

 そうして自分の感覚を大事にする。何に違和感を感じているのか。ひとりで仕事をしていくのに勇気が出ました。
 そうして、もちろんひとりでは仕事はできません。たくさんの人と関わって連携し、勉強したいと思いました。

 この本を買って、アンティーク市を見ながら歩いていたら、知っている男性と目があった。奥様と一緒で、「つい買ってしまった」と大きな袋を下げている。今何しているか、とお互いの近況報告。彼も独立したということで、名刺をくれた。私もできたてほやほやのフリーの名刺を渡した。もちろん彼は、もともとNPOの理事やらなにやら活躍している人なので、私とは違うのだけれど、フリーの人たちで何か一緒にできるといいねと言われて別れた。
  これからどんな流れになるかわからないが、愛を持って仕事をしよう。




 ※良いものを使う、身のまわりに置くというのは、とてもよくわかるのだけれど、ヨーガン・レールさんの服が欲しくても私には買えない。そうして、私がする仕事はお金がない人たちのために動くこと。100円ショップで買い物し、食事は毎日カップラーメン。そういう生活が良くないことはわかっていても、やめさせることもできない。お金がないのだし、そういうふうに育ってきたのだから。どうやって、自分らしい生活を組み立ててもらえるか、時間のかかる仕事です。この本を読んで、やる気になる単純な私とは違う生活があるのです。でも、あなたも大切なひとりであるということを届けたい。