胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

気まぐれ美術館

気まぐれ美術館 (新潮文庫)

気まぐれ美術館 (新潮文庫)

長谷川潾二郎の猫の絵のことを洲之内徹が書いていると知って。須之内徹の『気まぐれ美術館』が読まないまま山の家にあることを思いだした。

何で買ったか忘れたけれど、買ったものの美術批評なんて難しいかな。時間があるときに読もうと積んでいたのだ。

山の家に1泊して、読み始めた。最初からではなく、タイトルが可愛らしい「コモちゃんの食卓」から読み始める。びっくりする。須之内徹の経歴に。戦争の話や拷問された話。暗くならずにサラッと書いて、実に飄々。紹介されている画家のことは知らなくても文章を読ませる。そうして、その画家の絵を観てみたいと思わせる。
これは人気があった連載だと納得できた。

最後まで読んで最初から読み進める。
長谷川潾二郎の猫のことはこの本にはなく、洲之内徹の本をAmazon古本で探し『絵のなかの散歩』と『帰りたい風景』を買った。『絵のなかの散歩』に猫の絵のことが書かれていた。
長谷川潾二郎の猫をはじめ洲之内コレクションは、宮城県立美術館にあるというから、観に行ってみたい。

それにしても、洲之内徹が女性にモテたというのはわかる。こんなに無防備な人を女性はほっとけないのだろう。

P139
「あれ以来、会話というものはなくなった」
 と、麻生さんは言うのだが、私は、いまは、絵かきが絵のことを考えなくなったのではないかと思う。


本当に会話らしい会話に飢えていた。
でも、先日ある陶芸家と久しぶりに会話らしい会話をした。
スタイリストの友達が展示会に出したい作家の工房を訪ねたいというので、その人は知らないけれど、場所はわかるので案内した。
そこで、私はスタイリストの友人をそっちのけで陶芸家と話した。私が今さら気になった陶芸家の話をしたきっかけで、好きな焼き物を話したのだ。めったに人には話さない熱を話し、わかってくれて、私以上に知識があり、教えられた。
こういう世界があったんだと思いだした。

洲之内徹の本も、こういう世界があったんだと思いだされる。

絵のなかの散歩 (新潮文庫)

絵のなかの散歩 (新潮文庫)

帰りたい風景―気まぐれ美術館 (新潮文庫)

帰りたい風景―気まぐれ美術館 (新潮文庫)