石牟礼道子全句集 泣きなが原
- 作者: 石牟礼道子,黒田杏子
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 2015/05/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
山の上に黒牛どのと石ひとつ
祈るべき天とおもえど天の病む
けし一輪かざして連れゆく白い象を
にんげんはもういやとふくろうと居る
さくらさくらわが不知火はひかり凪
花びらも蝶も猫の相手して
毒死列島身悶えしつつ野辺の花
睡蓮や地表の耳となりにけり
われひとり闇をだきて悶絶す
ポケットで育ちし神の仔猫なり
「もだえ神」を座右の銘とするという石牟礼道子。
水俣という不条理と歩みながらもだえ苦しむ姿が俳句にも見える。
それとともに童女のような石牟礼道子、幽玄な彼方に紛れ込んでしまう石牟礼道子。
俳句にも気品があると思う。