胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

石牟礼道子全句集 泣きなが原

石牟礼道子全句集 泣きなが原

石牟礼道子全句集 泣きなが原

 山の上に黒牛どのと石ひとつ

 祈るべき天とおもえど天の病む

 けし一輪かざして連れゆく白い象を

 にんげんはもういやとふくろうと居る

 さくらさくらわが不知火はひかり凪

 花びらも蝶も猫の相手して

 

 毒死列島身悶えしつつ野辺の花

 睡蓮や地表の耳となりにけり

 われひとり闇をだきて悶絶す

 ポケットで育ちし神の仔猫なり


 「もだえ神」を座右の銘とするという石牟礼道子
 水俣という不条理と歩みながらもだえ苦しむ姿が俳句にも見える。
 それとともに童女のような石牟礼道子、幽玄な彼方に紛れ込んでしまう石牟礼道子
 俳句にも気品があると思う。