映画『ジョーカー』と『キング オブ コメディ』『バッドマン』

『ジョーカー』　2019年

　監督：トッド・フィリップス

　主演：ホアキン・フェニックス

　助演：ロバート・デ・ニーロ

 ひさしぶりに観るのがつらかった。映画がダメなのではない。よくできているし俳優がすごい。マーベル映画にくらべてアート的要素が強い。心がひりひりする。マーベル映画がストレス解消になるけれど、この映画はトラウマになりそうである。気になるのは、主人公も母も妄想性精神障害であるということ、虐待を受けていたということ。なにか偏見を持たれそうで嫌だなという思いがあった。きちんとした支援さえあれば、こうならなかった事例。社会的な映画なのかもしれない。でも、ジョーカー誕生が妄想性精神障害が原因では単純すぎる。悪のジョーカーにはなれないのではないか。もっと頭が良くなければいけない。そんなことを考えた。

 『キング・オブ・コメディ（The King of Comedy）』1982年

　監督：マーティン・スコセッシ

　主演：ロバート・デ・ニーロ

 『ジョーカー』の元ネタのような映画。ロバート・デ・ニーロがコメディアンとして成功しようと有名コメディアンに押しかけていく痛い話。でも、最後はハッピーエンドでまずは胸をなでおろす。ロバート・デ・ニーロは、たいした役者だけど、最近は丸くなり、いい人の役が多かったような。マーティン・スコセッシ監督と組んでいる『アイリッシュマン』が楽しみだ。

それと、『ジョーカー』で、金持ちの息子ブルースの目の前で両親が殺されるシーン。どこかで見たと思ったら『バッドマン』。ブルースはバッドマンになるのね。シリアスな映画の中にいろいろな映画へのオマージュが入り組んで、『ジョーカー』は映画好きにはうれしい作品なのかもしれない。でも妄想性精神障害ではつまらないと思うの。