胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

太地喜和子


 先日、NHKBSで「邦画を彩った女優たち」で太地喜和子の特集を観た。好きだった女優さんだった。写真は『寅さん』のマドンナ役。私がファンになったのは、舞台『近松心中物語』を観てからである。蜷川幸雄演出、秋元松代の脚本で評判になっていた。主演は平幹二郎太地喜和子。華やかな舞台だったが、本当に恋している女性が演じられ引き込まれた。男と会う一瞬、こちらがドキドキしてしまう目やしぐさ。もう一度太地喜和子が観たくて3回劇場に行きました。だから亡くなった時は悲しかった。
 中学生から映画と舞台鑑賞が趣味だった。今思えば、親にお金をもらったり、バイトしたりして観ていたのかしら。バイト先に映画館の娘さんがいて、映画館に自由に入れるパスカードを借りていたこともあるし、親が舞台関係の仕事をしている友人から歌舞伎座などの良い席のチケットをもらったこともある。いつも安い席でしか観ていなかったから、花道のすぐ脇の席で観たときは喜んだものだった。
 舞台で好きな女優といえば、小川真由美の『ドリスとジョージ』もおかしくて2回は観た舞台。アングラ劇場みたいなのを流行りだったし、誘われて観に行っていたが、商業演劇のほうが分かりやすくて好きだった。
 岩手に来て20年。舞台を観ていないことに気がついた。あの頃は仕事帰りに文楽を観たり、ライブハウスへ行ったものだった。どこかで何かやっているのが東京。あまりに昔過ぎて、自分の人生ではなく誰か違う人の人生だったような気がしてくる。