胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

ニキータ・ミハルコフ監督『戦火のナージャ』『遥かなる勝利へ』

 

 

戦火のナージャ』(2010年)、『遥かなる勝利へ』(2011年)のロシア映画ニキータ・ミハルコフ監督・主演である。ナージャ役は、監督の娘のナージャ・ミハルコフ。

映画は3部作となっていて、第1部の『太陽に灼かれて』があるのだが、なぜだかAmazonプライムにない。それで、少し人物関係がわからないところがある。第1部では、主人公のコルフ大佐、妻のマルーシャ、ドミトリの三角関係があったのだ。『戦火のナージャ』の冒頭シーンが原因で、コルフ大佐が逮捕されたと思ったが、あれは夢で、第1部に原因があったみたいだ。

コルフ大佐もミーチャと呼ばれるドミトリも残酷なことをしてきた立場だろうけど、なにか憎めない。

とにかく、満州で太平洋で日本人が中国人が死んでいるときに。ドイツがソ連に侵攻し、ヨーロッパも地獄だった。第2次世界大戦というのは何のための戦いだったのか。バカな指導者たちの面子のために多くの命がないがしろにされていったことがわかる映画だ。

好きなシーンは、負傷兵を運ぶ赤十字のトラックをドイツ軍の飛行機が爆撃していく。ナージャが運転するトラックに臨月の妊婦が乗っていて、爆撃の最中に産気づき、荷台に乗っている男たちが産むのを助ける。男の子が生まれ、兵士が「もしかしてドイツ人の子か」と聞く。女性はドイツ人にレイプされて妊娠したのだ。女性は「その子を殺してちょうだい」と叫ぶ。負傷兵がその男の子の名を考える。誰かが姓名も考える。赤ん坊は女性に手渡され、彼女は抱きしめる。ナージャは運転席で、その光景を見つめるだけ(ナージャは声が出なくなっていた)。トラックの周りは爆撃で地面は穴ぼこだらけ。まわりのトラックの人々は全員死んでいた。生き残ったトラックの男たちは、「この坊やのおかげだ」と喜ぶ。女性は赤ん坊に乳をやる。これからが苦労なのだろうけど、とりあえず良かった。

この映画でも、軍部のバカバカしさと対比して庶民のおおらかさ、ユーモアが描かれていて、どこも同じという感想をもつしかない。