胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

クリスマスに観た映画4本

 

ラジオから「戦場のメリークリスマス」が流れてきて、映画が観たくなった。昔観たはずだけど、細部を忘れている。それもそのはず、1983年の公開時に観ている。38年前ではないか。わたしも20代前半。出演者が若い。なかなかよくできた映画だったんだ、大島渚監督ってすごいんだな、と改めて感心する。坂本龍一デヴィッド・ボウイの関係よりもたけしとトム・コンティのコンビがこの映画を心残るものにした。トム・コンティはどうしているのかと思って、つい『ダークナイトライジング』を再度観てしまった。このバットマンシリーズも好き。

 

いやいや、クリスマスにはもっとほっこりしたものを観ようと思っていたのだ、方向性が違うだろうと、クリスマスの名作を探し、『素晴らしき哉、人生』を観る。フランク・キャプラ監督、そして懐かしきジェームス・ステュアート主演。タイトルは知っていたけど、観ていなかった。観て良かった。アメリカの懐かしき良心的人々の話。金持ちの悪役はいるけど、庶民はいいやつだ。住宅金融公庫が良心的だった。最近のリーマンショックを思い出す。おじさん天使もいい味がある。この役者さん、よく見かけたような気がする。

そのあと、観ていなかった有名映画をもう1本。『34丁目の奇跡』。1947年のアメリカのクリスマス映画。ニューヨークのクリスマス商戦に賑わうデパートを舞台に本物のサンタさんが活躍するお話。

1947年といえば、戦後2年しか経っていない。そうか、アメリカは爆撃など受けていないのだ。戦後の繁栄を謳歌している。日本は戦災孤児が浮浪者となり、貧しさの中にいる時期だ。クリスマスのオモチャなんて縁がない。なんでこんなアメリカと戦争しようなんて思ったんだ。ここのところ、ずっとNHKオンデマンドで戦争に至るドキュメンタリーを見ていたが、上層部や外国のことを知っている人たちは誰もアメリカに勝てると思っていなかった。でも、戦争にならないと世論が許さないし(欧米は満州からの撤退を要求していた)、国連も脱退して面子もあった。マスコミも煽った。勝てるはずもない戦争に突っ込んでいった。国民を道連れにした自殺行為だった。国民は戦争に勝てば豊かになれるという幻想を抱いていた。戦争に勝って豊かになるというのは、誰かの物を略奪してくるということなのだ。なにかを産み出すことではない。桃太郎の物語。鬼を退治して財宝を我がものとして安泰に暮らしました。そういう気持ちが国中にあったのだろう。

映画の話に戻ると、オランダ語しか話せない養女にクリスマスプレゼントは何が欲しいか聞きたい、という女性。サンタはオランダ語で話しかける。少女は「この優しい女性と一緒にいたい」という。この少女はヨーロッパの戦火で孤児になった子なのだろう。やっと安心する家にきたけど、英語がわからなくて戸惑っている。アメリカにはヨーロッパから避難してきた人が多かった。

 この映画のなかでの悪役は心理学者だ。会社の心理士は純な心を持つサンタを妄想だとして病院に入れようとする。サンタが住む老人ホームの医師は、妄想を持っても社会生活をちゃんとしている人もいる。閉じ込めるべきではないとかばう。心理士は、掃除夫の青年に父を憎んでいるとか罪の意識があるとか洗脳して、彼から明るさを奪っていく。青年は自分ではよくわからないけど、心理士という権威に言われることを真剣に悩んで落ち込んでいる。サンタはこの心理士に怒り、問題を起こしてしまうのだが、この時代に臨床心理士を茶化すほどカウンセリングが流行っていたのだと感心する。

 

今日は26日。クリスマスは終わった。町は松飾になっているだろう。でも、祈りたい。世界の子どもたちが飢えないように。暖かくいられるように。キリストだけでなくあらゆる神様が戦争に利用されてきたが、本来の神の力を発揮してくれと。祈りは通じないと、人間が祈ることをしない社会はますますひどくなっていくだろう。我が事だけでなく、隣人の幸せ、世界の幸せをせめて祈りたい。