胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

裁かれるのは善人のみ LEVIATHAN

『裁かれるのは善人のみ』監督・脚本アンドレイ・ズビャギンシェフ 2014年ロシア映画

こんなに報われない物語を観たのは久しぶりです。沈鬱な映画ですが、飽きさせません。心の中で、「神様、最後は助けてくれますよね」とこんなに祈った映画ははじめてです。
でも、神は沈黙します。

この映画は、旧約聖書やトマス・ホッブズの『リヴァイアサン』から着想を得られていると解説にあります。それらに詳しくないのですが、宗教は国家権力と結びつきやすい。悪い奴ほど神を口にするのはこの映画でも同じです。

神の「沈黙」といえば、遠藤周作の小説を思い出させます。
これはロシア政治への批判ではなく、全世界で今起こっていることへの監督の思いだと思います。
国家のために沈黙を強いられる人々。

神に頼っては駄目だと思い知らされた映画でした。それでも、どこかで神様はいないのか、どういう哲学を持って主人公はこれからの人生を耐えていくのだろう。