『パリのすてきなおじさん』金井真紀 文・絵
図書館の返却棚にこの本がおかれていた。雑誌などに紹介されていたのか、タイトルは知っていた。かっこいいパリのおじさん紹介の本。連休の暇つぶしに読もうかと借りてくる。料理の合間にパラパラ読むにはちょうどいい本だが、内容は深い。というか、登場するおじさんたちが味がありすぎる。その理由に濃い背景がある。宗教、民族、故郷はそれぞれ違う。イタリアでスーツをオーダーするパリっ子から、難民テントで暮らす人まで出てくる。パリの多様性を描いている。
登場したおじさんに共通するのが、「今を生きる」という気持ちではないか。最後の章のタイトルにもなったが、おじさんたちは苦しい経験を乗り越え、不安定な時代だからこそ今をきちんと生きることが大事だとわかっている。その大事さは人によってちがうところが面白い。お金だけではなく仕事や家族や趣味。世界平和を考えると気持ちは萎えるけど、今をこつこつ自分を鍛えるしかない。
「静かな心でいれば、強くなれる」
登場人物の朱人来(ジュウレンライ)さんが好きだという考え方。