胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

仲正昌樹著『今こそ アーレントを読み直す』

 

今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)

今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書)

 

 仲正昌樹『いまこしアーレントを読み直す』(講談社現代新書) 2009年5月20日

 

前にも読んだことがあるが、もう一度読んでみたけれど、アーレント全体主義の流れに日本はまたきっちりのっているところがため息が出る。

「他者」の排除による仲間意識の確認。

どこの国でもあることだが、日本人はことに全体主義に流れやすいのかもしれない。ドイツも同じ気質があったのかもしれないけれど、同じ誤りはしないと徹底的に教育してきた。日本はと言うと、あまり徹底していない。「日本のどこが悪いのだ」と思っている人たちが国のトップにいるからなのか。

「こういう排除を通しての「我々」のアイデンティティの確認と言うのは、自分たちの立場に自信がない人ほど、はまりやすい」(P39)と仲正昌樹が書くが、まえに国際比較で、日本人の自己肯定感が低く、幸せ度も低いとかに関係しているのかもしれない。

 そして何より、アーレントが言い続けた「自分の頭で考えろ」ということができていない。訓練もなかった。親も子どもたちにはみ出さないように生きることを望んだ。この全体主義の中ではずれるのはけっこう勇気がいるし、考える力が必要だものね。

ああ、でも暗い気持ちになる。

アーレントの『人間の条件』に書かれいる3つの条件、①労働、②仕事、③活動は仕事に悩むわたしには、考えるきっかけになった。

でも、アーレントを直接読むのは難しそうだ。