胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

映画『さざなみ』

 

 『さざなみ』 2015年

 アンドリュー・ヘイ監督

 シャーロット・ランプリング主演

 公式サイト:http://sazanami.ayapro.ne.jp/index.html

 

ベロニカとの記憶』につづいて、シャーロット・ランプリングの映画。こちらも手紙と過去の愛が問題になる

 土曜日に結婚45周年記念パーティーを予定しているケイトとジェフ。月曜日にジェフのもとに手紙がくる。むかし、山岳事故で亡くなった恋人が見つかった。氷河に閉じ込められて若い姿のまま死んでいる。確認に来ないかというスイスからの手紙である。まだ正式に結婚はしていなかったが、夫婦であるといって旅行していたのだ。

 そこからジェフは過去の思い出にひたる。恋人が若い姿のまま死んでいる。会いに行きたいだろう。でも、そんな夫に妻のケイトは苛立ちを募らせる。45周年パーティーを前に夫婦の関係に亀裂が入る。

 

 というお話である。夫婦には子どもはいない。でも、大きな犬を飼いかつては仕事もしていて、のんびり老後の生活を楽しんでいた。夫の過去への妻の嫉妬。自分より死んだ元彼女のほうを愛していたという確信。

 でも、あまり共感はできなかった。もう70は越えたようなふたりだ。妻が夫と出会う前のできごとである。心臓のバイパス手術もして、先は長くないような夫である。昔を懐かしんでも、わたしはいっこうに構わないのだけど・・・。

 でも、それは西洋の夫婦生活との違いなのかしら。ひとつベッドに一緒に寝る。うちは、子ども産んでから夫婦は別々の部屋だわ。だって夫は夜中まで机に向かって仕事をし、わたしは子どもと一緒に寝て、朝3時4時に起きて仕事をしていた。そのまま今でもそのスタイル。ひとつの家の中に部屋が別々。机に服にベッド、プライバシーはそこに押し込まれていて独身者の部屋みたい。わたしは夫の部屋に入ることもない。そんな暇がない。服や何かを整理してあげることもない。食事だけは一緒にする。田舎だから共同で作業もする。愛しているかと言われればわからない。でも、いちばんの友だちかもしれない。もし、過去に愛した人がいたら、じっくり話を聞いてあげたい。それもいい物語だと思う。西洋では夫婦の愛が問題になる。愛は男女の愛を越えていくのではないかと思うけど、生々しい男と女の愛にしがみつく。

 ケイトは屋根裏部屋にしまってあったジェフの恋人の写真を見る。その女性は妊娠していたようだ。それにケイトはショックを受ける。子どもを持てなかったことが、彼女の負い目なのか。

 冒頭でケイトはもと教え子に出会う。子育てで大変だと言われ、「優秀なあなたなら大丈夫よ」なんて言っている。ケイトは子育てはできなかったけれど、よい教師だった。ケイトに必要だったのは引退後も夢中になれる何かだったのかも。夫なんかほっといていいのだから。

 イギリスのどこの地方なのだろう。郊外の田舎の景色が美しい。車ででかける町もいい感じである。