胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

ハン・ガン著『すべての、白いものたちの』

 

すべての、白いものたちの

すべての、白いものたちの

 

 この著者の『菜食主義者』が読みたいと思っていたが本屋でこの本を見つけて買ってしまう。タイトルにひかれた。

小説というより詩のような文章。生まれてすぐに死んだ姉であったはずの赤子へ対する母の思い「しなないで」という言葉がこだましながら、しろいものたちのかたりがワルシャワの重い空気の中でうまれる。

この本を読んでいる途中に映画『あなた、その川を渡らないで』を見た。老夫婦が住む村に雪が降る。白い韓服。韓国にとって白は特別な色なのだろう。日本だってほかの国でも白は特別なんだけど、日本の白は純潔や美しいものにつながるが、韓国は悲しい感じがする。本の最後に死んだ人に着せるため白いチマとチョゴリを焼く場面がある。映画でも妻が夫の衣装を焼いていく。素敵な衣装をあの世で着られるために、かまどに入れて焼く。映画の最後も夫の墓の前で服を焼く。幼くして死んだ子どもたちのために買ったパジャマも焼いて、あの世で子どもたちに渡してほしいと夫に語りかける。そういう風習があるのだ。