胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

伊藤比呂美『ウマし』

 

ウマし (単行本)

ウマし (単行本)

 

 『ウマし』 伊藤比呂美 (中央公論社 2018)

 食べ物エッセイ。一番好きなのは卵かけご飯。でも、アメリカの卵を生で食べる勇気はないな。

 伊藤比呂美の『良いおっぱい 悪いおっぱい』からのファンだ。あの本があったので子育てが雑になった。「子どもより親が大事」と子育て中もやりたいことやった。わたしの使命は毎日美味しいご飯を作ること、ぐらい。学校と勉強は夫に任せ、中学の入学式から行かなかった。理由はなにか会議とぶつかる。服を買うのが面倒。長い儀式を聞いている時間が無駄。夜は宴会してお祝いしたけど、儀式はパスしていた。息子たちも来なくていいというし。大学となると、入学式も卒業式も出ないし、大学も息子が住むアパートも一度も訪ねたことがない。待ち合わせして飲みに行ったり寄席に行ったり一緒に遊ぶことはあった。我が家は「子どもより親が大事」の子育てがあっていたようで、息子たちも自分の楽しみを大事にして、しっかりオタクな人間になった。

 その伊藤比呂美も子育て終わり、親を看取り、夫に先立たれる。諸行無常伊藤比呂美の子育てエッセイに励まされた女性たちもおばさんになって、子育てから解放されパワーアップしているにちがいないと思うのだ。

 本の中の最後の「バナナする」の書き出しは、「夫が死んで料理をするのをやめた」である。そうなんだ、たぶんわたしもやめるだろう。わたしは料理は人のために作る。自分だけだと毎日納豆ご飯やねこまんま、いまなら素麺で十分なのだ。大根おろしがあればいい。週末は作り置きを6種類ぐらいつくる。仕事から帰ってきて料理する気はない。冷蔵庫から作り置きをだして食べる。週3日夫がお弁当を持っていくので、作り置きを詰めてすます。でも、わたしのお昼はパン1個かビスケット。昼に食べ過ぎると眠くなるので軽くなにかつまむだけ。夫がいなくなったら…ちょっと楽しみな独り暮らしだ。でも、夫は元気でまだまだ死なないので料理していかないといけない。