マイケル・ムーアの『華氏119』
『華氏119(Fahrenheit 11/9)』 2018年公開
監督:マイケル・ムーア
なぜ、トランプが大統領になってしまったのか。アメリカの選挙制度はわかりづらい。一部の金持ち企業とお友達への優遇政策はどこかの国みたいだ。そうかこちらの国が真似しているのか。
ミシガン州フリントの水道水の汚染問題。水道の民営化からはじまった問題。水道代はやたら高く。水は鉛や細菌におかされている。色だって赤茶色。水源を汚い川にしたこと。フリントは黒人が多い貧困地区らしい。そういう人たちに何をしてもいいという思いあがったものがあるのではないか。鉛が検出されても、おなじみのデータ改ざんと嘘の上塗りで被害は大きくなる。水俣はあちこちで起こることなのだ。
BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/36098699
鉛の波紋
https://wired.jp/special/2017/flint/
荒廃していくフリントの町を突然、爆撃弾が落ちて建物を破壊する。
軍の演習。市街地でのテロと戦うための演習を住民に通告もせずに行う。ありえるのだろうか。一般市民がすぐわきで暮らしている地区である。脅しなのだろうか。また、オバマ大統領がフリントに来ての演説も水を飲むパフォーマンスも胸が痛い。彼の顔が死んでいた。彼もまた誰かに操られている。それはお金や地位やなにか。
先日、仕事をするため朝早く起きて机に向かっているときに、深夜ラジオをつけた。4時からのインタビューに山中伸弥教授が出ていた。恥ずかしながら、ノーベル賞をとったips細胞の人くらいしか知らなかった(ips細胞も分かっていない)。それと、最近の予算削減されているニュースなどは耳にした。
でも、この方の話はすごくて、仕事の手を休めて耳を傾けてしまった。
化学は進歩するが、人間の倫理観は100年前にもどっている。いったい何が起こるのか。優生思想批判もしていた。世の中が良くなると思って化学は進歩していくが、人間は貪欲である。
アナウンサーが低次元な話に戻そうとする。「人が長生きできるようになるのか」。山中教授「健康寿命がのびる。でも、それで人は幸せになれるのか」。
いま、國分功一朗の『原子力時代における哲学』を読んでいるが、山中さんは考える科学者だった。
うがった見方をすれば、山中さんが本当の知の科学者で安倍政権になびかないから予算を減らされたのではないかと思ってしまった。それにしてもNHKのアナウンサーは最近、品がないなあと思った。
いろいろ大変なアメリカでも、教師たちのデモ、学生たちのデモ、選挙への出馬など抵抗は続けている。マイケル・ムーアが言うように、本当のアメリカ人はリベラルなんだと思いたい。
日本のマスコミはトランプのTwitterのつぶやきは報道するけれど、アメリカで本当に何が起こっているのかはいっさい報道しない。この国の政府にまずいことなのだろう。
小市民のわたしにできることはないかもしれないけれど、この時代をよく観察してみていこうと思った。