胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

斎藤たまの本

 澤口たまみさんの『虫のつぶやき聞こえたよ』にヤマヒコの話があった。ヤマヒコの緑の繭は夫が見つけて来て、何年も山の家に飾られていた。そのエッセイの中に斎藤たまさんの本が紹介されていた。斎藤たまさん! ずいぶん昔に山の家に泊まっていかれたことがある。たまさんは、歩いて人々の昔の暮らしを採集している。本当に歩く。共通の知り合いが我が家を紹介して、旅の途中寄って、村のお年寄りに話を聞いていた。本当にあの頃は、山の家にいろいろな人が訪ねて来て、ご飯を食べ、泊まっていたのだが、ブログも日記もつけていなかったので、記憶が薄れていき残念だ。
 たまさんと共通の知人に最近手紙を出しても返事が来ない。筆まめだった人だが、高齢なのでもしや何かあったのかと心配していた。たまさんの名を見て、「そうだ、たまさんに聞いてみよう」と思った。ファイルをひっくり返し、お手紙を見つける。息子が生まれたお祝いに圧力鍋を送ってくれたのだ。今でもそれは使っている。恐る恐るたまさんに電話してみる。たまさんは元気に電話に出た。私のことも覚えていて、「息子さん達は大きくなったでしょう」と言う。たくさんの人たちに会っているのに、記憶力がすごい!!
 共通の知り合いは、息子さんの家に住んでいるとの事、「自分も手紙を出しても帰ってこないので、文字を書くのは大変なのかも。でも、息子さんに支えられ歩いているそうよ」と教えてくれた。そうだ、わたしはその人の夢を見たのだ。東北に住みたいという、その人を引き取る勇気がなかった。心残りのまま、西に帰り、そのまま会えないでいる。
 さっそく、その人に手紙を書こう。返事が来なくても手紙を出していこう。尊敬する大先輩だから。
 ちょうど県立図書館のあるビルで研修があったので、図書館に行き、読んでいなかった斎藤たまさんの『音し神以前』と『便所の民族誌』を借りてくる。山の家のある村の年寄りから聴いた話も書かれていた。すごい先輩たちの仕事を見ていると、うれしい半面、自分は何をしているのだろうと思う。疲れたなんて言っていないで、動かなくては。

落し紙以前

落し紙以前

便所の民俗誌

便所の民俗誌