胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

オープンダイアログとは何か

オープンダイアローグとは何か

オープンダイアローグとは何か

精神薬がもしかしたら有益な効果をあげていないだけではなく、害があるということを鬼の首をとったように言うことではないのかもしれない。
もうそれは、いろいろな研究で証明されていることで、世界の常識になっているのかもしれません。
でも、人は見たいものしか見ないので、そういう研究に注目しない人も多いでしょう。
そして、大きな利権に動かされている国々を変えるのはむずかしいのです。

有効性の低い治療法が、むしろ治療対象の患者を増やす結果につながることは、SSRIが導入された各国において軒並み、うつ病患者が増加していることからも明らかです。(本書P16)

新しく「良い」と言われている薬が出て来ていても、患者数は増え続け、治る人が少ないというのは、そろそろ疑問に思わないといけないですね。

「オープンダイアログ」の効果については、いろいろな研究の数字があるので本書で確認していただくとして、フィンランドの西ラップランドでは統合失調症が減り、慢性化しないという成果を出しています。
薬物療法は少なく、それも短期間で終えます。
手の込んだ治療方法ですが、医療費の削減になります。年金受給者の人数も減るというメリットもあります。それでフィランドは公費で「オープンダイアログ」という治療を患者負担ゼロ、無料で実施しているそうです。

たぶん、日本では無理でしょう。「オープンダイアログ」のエッセンスを取り入れたことが病棟や訪問看護、ACTでやるのが流行るかもしれませんが、服薬プラスのサービスと考えられるかもしれない。


それはともかく、「オープンダイアログ」の基になる思想が興味深いです。
バフチンの「詩学」。「不確実の耐性」という言葉に目をひかれた。わたしたちは、あいまいさが苦手である。白黒をつけたくなる。診断名を早く欲しがる。結果を出さないといけない。
それが悪循環の源なのかもしれない。
これは、病気についてだけでなく、子育てや人間関係やいろいろなものにあてはまります。

また、システム論的アプローチでないところがいいです。家族システムと専門家が言うのを聞くたびに、何かえらそうだなと思っていました。私たちは専門家で家族の病理に介入する。そういうのが何か違和感のある言葉遣いだと思っていました。オープンダイアログでは、専門家もクライアントも水平に同じ場所にいるのが、安心感があるように感じました。

バフチンといえば、ドストエフスキーです。ドストエフスキーは、中学の時に読んで挫折しました。でも、今なら読めそうです。そうだ、この冬はドストエフスキーを読んでいこうと思いつきました。

下記は、オープンダイアログのドキュメント映画です。