田中美津『この星は、私の星じゃない』
『この星は、私の星じゃない』 田中美津著 2019年5月 (岩波書店)
わたしは正直わかっていない。わからないけれど、田中美津という人が好きだ。上野千鶴子が言うように彼女には言葉の力がある。学者の言葉ではなく、一般のおんなに訴える言葉がある。だから、リブの先頭にいたのだろう。
彼女たちより少し若い世代なので、連合赤軍事件もあまり覚えていない。その世代の傷ついた気持ちがいまひとつわかることができない。
男女雇用機会均等法や男女参画などがどうなっているのか。色あせてきていないだろうか。そこらへんもわからない。うちは夫が家にいて仕事する人だから、家事はするし子どもの教育担当だったので、三者面談も夫だった。わたしは入学式卒業式が嫌いで、子が中学の入学式から欠席して夫に任せた。高校になったら親はもういいだろうということで、夫婦で式にでていない。大学なんて子供らも親が来るなんて思っていないから、いつ入学式や卒業式なのか教えてくれない。夫は長男だけど、親の介護もしない。自分の親は人任せ。そういうわけで、美味しいものをつくる以外は、あまり家庭的に期待されていない。夫には恵まれているけど頭に来ることはあるのよ。わたしも家事をしているのに、「だんなさんよくやるね」と夫ばかり誉められるとかね。
男が妻にいばっているのを見ると腹が立つ。そういうのがけっこういるんだ。若い人なんかもそう。わたしが許せないのは性的な詐取。痴漢も。なんでのさばらせておくのだ。被害者が非難される世の中。Mee to運動に賛成だ。「わたしはわたしのもので、おまえなんかわたしに寄るな」と言ってほしい。美津さんがいう「わたしのお尻を触るな。でも、好きな男に触ってもらえるお尻が欲しい」というのが全女性の気持ちだ。「寄るなてめえ」とセクハラする男、痴漢男に怒りをぶつけようよ。おばあちゃんのわたしにはだれも触らないが、むかしセクハラに散々あったな。もっと今のように凶暴だったらと思い後悔している。
美津さんは鍼灸師という仕事を持てて良かった。からだを源にする言葉を伝えられる。
わたしはスパッツはいて腹巻して、腰回ししてますよ。
伊藤比呂美との往復書簡はハラハラしたけど、仕切り直ししたら伊藤比呂美がおとなしくなって、伊藤比呂美の本の書き方になってしまい、面白くなくなってしまった。そこが面白かった。