胡桃の木の下で 

日記ではなく備忘録になっています。忘れっぽくなってきたので。

映画『MINAMATA』

longride.jp

 

わたしは面白かった。水俣の映画というよりユージン・スミスというダメ人間の誠実さ。むかしのアメリカ人の誠実なジャーナリズム魂。純粋な人間なほど破滅的になってしまう傾向が昔はあったよね。いまは芸術家はまっとうでスマートで、いいことなのかもしれないけどつまらない。ユージン・スミスだから撮れた写真なんだろうと思う。

 

撮影地が日本ではなく外国だというけど、よく撮ったと思う。さすがに泣いている女の子がどうみても西洋の子だったのには違和感があるけど、これはお芝居なんだものと思った。舞台では日本人がエミリーやルーシーになれるじゃない。ドキュメント映画ではないのだ。

欲を言えば、もう少しユージン・スミスを知りたかった、水俣は素材である。彼の写真を見て、彼の人生を思う。

アイリーン役の美波さんが良かったと思う。媚がない凛としたアイリーンがいた。

この映画だけでは水俣は描けないのは決まっている。石牟礼道子さんの書物を読み、他の記録を読み、ドキュメント映画を見てさえ、わたしがわかることはないが、いつもいつも庶民が苦しむのを悔しく胸が痛くなる。